社会人初フライト 驚きの新たな滑空場
ほんの数日前、「新入生向けに座学を」と部活の後輩に依頼されて
1年生に対してオンライン座学をした。
出会った事のない子たちに、グライダーを実際に見た事のない子たちに、画面越しで話すのは少し緊張する。
それでも、聞いていた子たちが笑ってくれる表情や、思いがけず聞いていた2年生以上の後輩からの言葉が凄く嬉しかった。
“航空部をやっていて良かったこと“をテーマに魅力を話していたら、
私はいつの間にか、また「空が飛びたくなっていた」
そんな思いが通じたのか、梅雨が続く日々を打ち破り晴れてくれた日曜日。
私は、自転車を走らせていた。
目的地は、妻沼ではない、新たなグライダー滑空場。
30分位こいでいた時、市街上空に動く物体を見つける。
「グライダー!!!」
見えるグライダーを追う。
風を感じながら、グライダーを追っかけながら、走る自転車っていうのは、最高に気持ちいい。
グライダーを目で追いながら走り続けたら、ナビ無しにいつの間にか滑空場に着いていた。
「初めまして」と「社会人グライダークラブ」の地に初めて足を踏み入れた。
6機もある様々なグライダー、
そして何より L/Dが50、翼長が18mもある機体に心が躍る。
曳航される機体が、着陸する機体が目の前を通る。
久しぶりの光景に、ワクワクする気持ちが止まらない。
そして、文化の違いも次々に飛び込んでくる。
・学生時代当たり前だった、パラシュートもヒューズも存在しない曳航索。
・滑走路が途中曲がっていて、出発地点からウィンチが全く見えない。
・その為に、離陸直後すぐにウィンチ方向に偏流をとる機体 ・・・
学生時代の「当たり前」と違い過ぎて、「え!?」と驚く事が沢山ある。
その違いが、その驚きこそが、新しい滑空場を訪れる醍醐味なのだと感じた。
そんな様子でいたら、自分の体験搭乗の番はすぐに回ってきた。
「次のDuo Discusに乗ってもらいますね~」って言われて、これまた驚き。
体験搭乗で、あのDuo Discusなんて、凄い贅沢!
そして初回で体験搭乗だし、後席で景色を楽しむのかな~とのんびり思っていたら、
「曳航は特殊なんでやりますね。あと上空から着陸まで自分でやってね。
チェックポイントは600フィートで、幅も自分で決めて飛んでね。」
と初めての土地にも関わらず、さらーっと説明されただけでいきなり操縦を任され、これまたビックリ!!
ふわふわビジター気分が一転、「自分のパス信じて飛ぶぞ!」と身が引き締まる。
そしていざこうやって自分が搭乗してみると、目の前にウィンチが無いのが不思議で不思議で仕方ない。
索をつけて、「準備よし」
このドキドキ感、久しぶりだ。
機体が動き出して間もなく、ふわっとグライダーが宙に浮かぶ。
そして離陸後すぐに偏流をとりながら、ぐんぐんとあがっていく機体。
「あぁ、この感じだ」と、目の前に広がる青い空と白い雲を眺めながら、空に身を委ねる。
1200フィートで離脱。上空からの景色にこれまた驚き。
そこは妻沼の田舎ののどかな風景とは違う、完全なる「街」!
高いビルも建っていて、凄く新鮮な景色。
そんな新たな景色を見ながら、すーっと入る初動の気持ち良さに浸っていたら、
緊張はどこかへ、楽しさが勝り
7分間のフライトはあっという間に過ぎていた。
航空部生活を思い出した。
じりじり照り付ける太陽は確かに暑くて、それでもやっぱり
「空を飛ぶのが好きなんだ」
そう感じた、梅雨の合間の晴れた日曜日